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2011.01.30(Sun)

視線の先に

実梨さまより頂いたSSでございます。




サァァァァ・・・

今日は朝から雨がやむことなく降り続いている。
香は読んでいた雑誌から顔を上げて窓へ近づく。

「まだ雨、降ってるね」
「・・・あぁ。今日はやまないみたいだからな」
「そっか・・・。だから、撩が珍しくナンパに行かないんだ」

そう言って香はくすっと笑う。

「んー・・・・・・」

撩はソファで新聞を読みながら空返事をする。
香は戻ってローテーブルに広げられた雑誌を読み始める。

昼食後、お互いにのんびり過ごしていた。
リビングには撩が新聞を捲る音と、時計の針の音、外の雨の降る音だけが静かに聞こえている。

ガタッ。

撩が席を立って、リビングから出ていくところだったが、香は特に気にすることもせずに雑誌を見ている。
その撩がリビングから出る前に、一言、香に告げた。

「香ぃ、コーヒー頼むわ」
「・・・え?コーヒー?うん、分かった」

撩が出ていった後、香もコーヒーの準備をするためにリビングを出ていった。
・・・その後、香がトレイにカップを2つ載せて、香ばしい匂いをさせて戻ってきた時には、撩はもう戻っていた。

「はい、持ってきたよ。コーヒー」
「お、サンキュ。そこ置いといて」
「うん」

コト、とローテーブルに置いて、自分の分も置く。
撩はもう新聞を読み終えたようで、別のものを読んでいたので、ふと、何を読んでるのか覗いてみて、そして、気付く。
・・・・・・あれ。

「ねぇ、撩。なんで珍しくそんな本読んでるの?」

香の言う“そんな本”とは。
撩がいつも読んでいるエロ本、ではなく、アルファベットの羅列にしか見えないような本で。
当然ながら日本語ではないわけで、香には何が書かれているのかなんて分からない。

撩は、視線を本から外すことなく答える。

「ん?あ、あぁ・・・。ちょっと、な」
「ビックリした。アンタでもそんな本読むんだね」

撩は、香の言葉に苦笑する。

「おまぁ、おれのこと何だと思ってるんだよ」
「え・・・。そりゃ、本能だけで生きてるもっこり大将・・・でしょ?」

それを聞いて、撩は、たはは・・・と笑うしかない。

「うーん・・・まぁ、否定はしないけど」
「でしょ?」

香は満足したように同意して、カーペットが敷かれた床にペタンと座る。
香は雑誌を捲り、自分のカップを持ちあげて、くん、とカップから立ち上る匂いを嗅いで、はぁ、と寛ぐように息をはいた。
そして、一口飲んで、何気なく撩を見たら・・・。

―――え?

思わず驚いて眼を見開いた。
本を読んでいるのは知っていたけど、そこにメガネをかけた撩がいたからだ。

香はカップを両手でしっかり持ちながらも、その瞳は撩を見つめていた。
そのカップはテーブルに置かれるでもなく、かといって、もう1回飲まれるでもなく、宙ぶらりんの状態で、香の手に包まれていた。


眼鏡リョウちゃん



う、うそ・・・。
撩が・・・メガネ?!
しかも、なんか・・・様になってて似合ってる。

いつの間にか、自分の頬が火照っていることにも気づくこともなく、香は撩をじっと見ていた。
いつもと違う雰囲気を纏い、悠然と本を読んでいる撩に胸が高鳴るのを感じた。

ドキ・・・ドキ・・・。
胸がときめく。
静かなこの部屋に自分の心臓の音が響くのではないか、というくらい胸の鼓動が大きく聞こえる。

「あ・・・・・・」

思わず声に出てしまい、ハッと気付いた香は口を慌てて押さえる。
そして、自分が今まで撩をずっと見ていたことに気付き、パッと下を向く。

―――今まで見てたの、撩に知られちゃったかな?

広げられた雑誌を見てはいるのだが、意識は撩に向いているため、雑誌の内容を見ているようで見ていなかった。

ドキドキして、眼が泳ぐ。
ゴクリ、と生唾を飲む。
顔がどんどん赤くなっていくのが分かる。
思わず手で頬を包んでしまったほどだ。

香が撩を見つめていても、撩は素知らぬフリで眼は文字を追っている。
端正な顔立ちに普段かけないメガネをかけて、長い足を組んで背筋を伸ばして本を読んでいる撩はまるで別人に見えて。

撩のその姿にどこか男の色気を感じて、香はギュッと眼を瞑って首をフルフルと横に振る。
本に視線を落としている伏し目がちな眼が、香の胸の鼓動を速め、ドキドキさせる。
しばらく気分が高揚した自分を落ち着かせようと、眼を瞑ったままジッとする。

それから、そっと眼を開けて、静かに1回、深呼吸する。

―――ふぅ。

香は静かに息をはくと、雑誌に眼を落とすがやっぱり撩のことが気になり上目でチラ、チラと見るのだった。




一方、撩は、もちろん香の視線にバッチリ気付いていて、だが、素知らぬフリをした。
もちろん、香の反応を楽しむためである。

香は、撩の予想を裏切ることなく、下を向いたり、慌ててみたり、とわたわたしている様は見ていて楽しかった。
そして、何より、今の撩には香の顔色が見事に変化していくのがどこか嬉しく、擽ったかった。

今の自分の姿に対し、どう想っているか―――。
香は嘘がつけないから、それはすぐに分かる。
・・・そんなところが可愛いところなんだけど。

香が淹れてくれたコーヒーを飲むためにカップを持った。
すると、撩の動きに反応するように香がチラリ、チラリ、とこっそり撩を見ていることに気付き。
内心、笑みがこぼれた。

―――そんなにいつもと違うかぁ?

たかが、メガネ。
されど、メガネ。

この小道具1つでここまで反応されると、こっちまで落ち着かなくなってしまう。
一口、コーヒーを飲み、ふむ、と考える。

ふと香を見たら、ちょうど撩を見ていた香と眼が合った。
香は大きな眼を見開いて、慌てて固まったようにじっとしていた。
撩はスッと立ちあがって、ローテーブルを挟んで香と向き合った。
そして、ニヤリ、と意地の悪い笑みを浮かべる。

「香ちゃん、さっきからそんなに熱心に見られると、撩ちゃん照れちゃうんだけどなぁ♪」
「!!」

香はまたボンと一気に顔が真っ赤になり、「あ・・・」やら「や・・・」やら、小さく呟く。

「ん?」

撩は香が呟いた言葉に続きを促そうと香を見つめる。
香はあたふたしている。

「あ、あのねっ、な、なんでもないの。ご、ごめん」
「何でもないことはないだろ?」

撩が優しげに香を覗きこむようにして見ると、香は下を向いてごにょごにょと聞きとれない大きさで何やら話す。

「あのね・・・?」
「あぁ」
「その・・・撩が・・・メガネ・・・・・・してるから。珍しいなって思って・・・」
「・・・あぁ、これ?」

と今、気付いたようにメガネをクイッと押し上げる。
そんな仕草でさえ、香は僅かに反応する。
香を見た撩は、クッと口角を上げて笑う。

「今、細かい文字が書かれた本を読んでるんだ。だから、コレがあった方が読みやすいんだよ」

撩がそう言うと。
香は小首を傾げる。

「あれ?撩って眼、悪いんだったっけ」
「・・・・・・まぁ、な」

実は、撩の眼は悪くない。
メガネをかけなくても全く問題なく読めるのだけど、細かい文字を読む時は気分的にメガネをかけた方が撩には読みやすいのだ。
メガネ、というフィルターをつけた方が、眼の疲れ具合も変わってくるような、そんな気がする、というのも一因だろうか。

「どうだ、似合ってるだろ?」

そう言って、撩がウインクしてみせると香は大きな瞳をさらに見開いて、頬を上気させて、ただただ撩を見つめるだけだ。
やがて、その瞳を伏せて、小さく頷くのを撩は見逃さなかった。

それを確認すると、撩はスッと立ちあがってローテーブルを回り込んで、香のそばまでやって来る。
隣に来て座った撩と香の眼が交錯する。

どれぐらい見つめていただろうか。
今、互いの耳に聞こえるのは、時計の針の音と、降り続ける雨の音のみだ。

これから撩は何をするつもりなのだろうか・・・。

香が唾を飲み込むのが分かる。
撩は香が素直に頷いたことが殊の外嬉しくて、優しく眼を細めて、香の耳元でそっと囁いた。

「・・・・・・サンキュ」

香の耳に、ダイレクトに撩の低く、掠れた声が響き、その甘さに軽い眩暈がした。
頭の中が真っ白になって何も考えられなくなる。

「りょ・・・う」

香も途切れ途切れに撩の名前を呼ぶだけで精いっぱいで、頬は上気させたまま、瞳を潤ませると、撩が顔を近づけてきた。


・・・・・・。
・・・・・・。


「・・・キスする時は目ぇ閉じろって言っただろ?」

撩の呆れたような、からかうような、その言葉に、香がハッと気付いたようにゆっくり眼を閉じるのを確認するように
ゆっくり撩の顔が近づいていく。
そして、香の唇にそっと撩の唇が重なる。
触れるだけのそれは、香の唇が柔らかくて眩暈がして、撩の理性を崩れさせるには十分のものだったが、
グッとこらえて名残惜しそうにゆっくり離れる。

だが、撩は触れた時の香のそれの柔らかさがまだ残っていて、このまま立ち去る気には到底なれなかった。
もっと、触れていたい。


―――もっと深く・・・・・・


・・・なので、再度、香のそれを塞いだ。
今度は、撩の手で香の頭を後ろから押さえて。

「・・・んっ・・・!」

香が驚いて声を上げる。
撩はそれに構わず、何度も角度を変えたり、吸ったりして、その柔らかさを十分に味わう。

「はぁっ・・・ん・・・」

香が吐息をついて僅かに口が開くと、それを逃さず、すかさず撩は舌を差し入れ、口内を蹂躙する。

「ちょ・・・っ」

香はビク、となって手で撩の身体を押す。
でも、香からは力が抜けているので、効果はほぼ、ない。
撩は気にすることなく、香の舌を求める。

「ま、待って・・・」

なんとか声を出した香は、「んっ」とどうにか力を入れて、撩の身体をポンポンとたたいて気付かせる。

「んあ?どうした?」

撩がそれに気付き、少しだけ離れて、だが香とは間近で見つめ合ってそう言うと、香が再び荒い、甘い吐息をついて、
はぁ・・・っ、と自分を落ち着かせるように息をはき、撩を見た。

「りょう・・・」
「あん?」
「メガネ・・・」
「あ・・・?メガネ?」
「うん・・・。なんか、あると気になる・・・」

香は恥ずかしそうに、はにかみながら言う。

たかが、メガネ。
されど、メガネ。

「あ?・・・あぁ」

撩はニッと笑うと片手でフレームを持ち、メガネを外す。
それさえ、色っぽく感じて、香はドキッとしてしまう。
撩はそれをテーブルに置くと、改めて、香を見る。

「これでいいか?香」
「・・・・・・うん」

消え入りそうな小さな声で香が呟く。

「・・・じゃ、もっかい、いい?」

撩が上目で香を見ながら聞くと、香は頬を染めて、視線を彷徨わせながらもコクンと頷く。
すると、撩は満足したように笑みを浮かべ、香とちゃんと目線を合わせる。
2人の視線が絡みあい、近づいて、もう少し・・・というところで。




・・・ピンポーン。


『新聞の集金でーす』



という声が小さく聞こえてくる。
もう少しで触れそうなところで2人が固まっている。


・・・・・・。
・・・・・・。


一気にパチッと眼を開けた2人は、間近で見る互いの顔に、何となく気恥ずかしくなり、温もりが消えるのが名残惜しかったけど、
顔を伏せて撩が香の腕を掴んで、ぐいっと押して半ば無理やりに離れさせた。

「・・・・・・新聞の集金だとよ」

撩が発した声は、どことなく低く、不貞腐れたようなものだった。

「・・・うん。ちょっと、いってくるね」

香は顔を真っ赤にして恥ずかしげにそう言い残し、パタパタと走り去って行った。

撩は何となく手持ち無沙汰になり、香が広げたローテーブルの雑誌を見る。
そこにはこれからの季節に向けた服のコーディネートが色々と載っている。
それを何気なく見ながら、ぼそっと呟く。

「はぁぁぁぁ・・・イイとこだった・・・んだけどなぁ。なんで今、集金に来るんだかなぁ?」

撩は思わず大きいため息をこぼす。
でも、このままいったら、キスより先に進んでしまうことも確実で。


自分は一体、どうしたい?
このままの関係でいいのか?

やっとキスはできるようになった。
徐々にではあるが、深いキスをする時もある。
でも、ここぞという時になぜか邪魔が入るのも事実で。


―――それは、おれ自身の心の迷いがあるからか?
・・・・・・いや。
もうおれは決めたんだ。
アイツを抱く、と。
もう、我慢が限界にきてるから。


―――愛おしいほどに溺れるであろう、ただ1人、惚れた女を―――


雑誌から目を離し、窓を見ると、やむ気配がない小雨が見える。
そして、玄関からは、香と新聞屋のやりとりが小さく耳に入ってくる。

さて、香が戻ってきたら、どうしようか?
さっきまでの何事もなかったかのような日常に戻る?
それとも・・・・・・


―――さっきの続きをしてみるか?


撩は、自分の思いつきに自然と頬を緩めていた。



*** end ***



++++++++++++++++++++++++++++++++++++
下記実梨さまのあとがきです。
<あとがき>
わーん(>_<)
Kaitoサン、ごめんなさいm(__)m
メガネな撩ちゃんにときめく香ちゃんが描きたかったんだけど・・・。
Kaitoサンから素敵なイラストをいただいたお礼に、と思い書いてみたものの、
やっぱり駄文になってしまいました・・・。
一応、一線を越える前のお話、となってます(^^)v
撩ちゃんがそろそろ限界を迎えて、一線を越えるか?!というところでしょうか(^^ゞ
そして、お約束の寸止め(?)です(笑)
・・・って寸止めにすらなってないか(笑)
こんな駄文ではありますが、受け取っていただけたら幸いですv
撩がどんなメガネをかけているかについてはご想像におまかせします☆
なお、読み終わった後はサクッと削除しちゃって下さいね♪
最後まで読んで下さって、どうもありがとうございました(^^♪
こんな駄文書きの私ですが、これからもどうぞよろしくお願いします☆



2011/1/30 Kaitoより
実梨さま、UP大変遅くなってしまって申し訳ありませんでした!
ペコm(_ _;m)三(m;_ _)mペコ
やっとこさ挿絵を描いたので載せれましたです!!
本当にステキなSSありがとうございましたー!!(〃▽〃)
是非とも実梨さまの「PIECE BOX」へ行ってみてくださいね!
とってもステキな作品達がいっぱいあります!ヾ(=^▽^=)ノ


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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

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