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2010.09.30(Thu)

都会の天使 第三話「楽しい一時も・・・」

第三話「楽しい一時も・・・」




『おはよっ、元気にしてっか?』

その文章からメールのやりとりが始まった。
一ヶ月ぶりに会ったあの日から一週間が経過していた。

「あ、撩からだ。あたしが渡したメモ、ちゃんと登録してくれたのね。
でも、ずいぶんメール来るの遅かったなぁ。忙しかったのかな?」

『あたしは元気だよ。仕事忙しかったの?メール無かったから
あたしのこと忘れたのかと思ってたよ^^;』

撩はメモに書いてあった携帯のメルアドと電話番号はすぐに登録したのだが
普段からメールなんてすることもない撩にとって、何を送っていいかもわからなく
悩みに悩んで、今日やっと送る気になったのだ。
そんなことを正直に言えるわけもなく・・・

『わりぃわりぃ、忙しくってさ~』

うそつけ・・・俺ってば一言メールするだけでどんだけ日にち掛かってるんだっての。
だいたい、女に連絡するっていったらいっつも電話だったもんな。
メールなんて一度も使ったことなかったから、俺打つのも遅かったしよ・・・ハハハ・・
まぁ、それに、ホントは・・・

『そっか、やっぱり忙しかったんだ。大丈夫?』

撩の思うことなどつゆ知らず、香は単純にメールを返してくる。

『ああ、大丈夫さ。お前も看護師仕事大変なんじゃねーの?』
『うん、色々と大変だけど。患者さんの笑顔見てると疲れが飛ぶよ』

「お前の笑顔も結構癒されるぜ?」

って打とうと思ったけど、香にはどうしても言えねえ。
軽く女を口説くなんてわけないんだがな~俺にとっちゃ。
そんな気持ちになる自分に苦笑しつつ、仕方なく違う文章を送る。

『お前も無理すんじゃねーぞ』
『うん、撩もね』

なんて他愛もない会話ばかりを繰り返すようになった二人。
朝の挨拶から始まり、昼休みの時間は香が『やっとお昼だー!』なんて送ると
『腹減った』『昼飯なに?』など撩らしいメールが来たりした。

こんななんでもないメールのやりとりだが、撩にとってはやっぱり初めての事だ。
だから毎度メールの内容が似たり寄ったり。
香からちょくちょく来るメールに最初は戸惑いもあったが、
いつの間にかそんなことも忘れて、メールが来れば普通に返す仲になっていた。

そして、いつものように撩は仕事を終え、馴染みの喫茶キャッツでコーヒーを飲んでいた。
すると着信音がバイブ音と共にカウンターで鳴り響いた。
それを不思議そうな目で冴子が隣の席で見つめている。

「撩?最近よくメール来るわね」
「ん?ああ、ちっと色々情報収集をね・・・」
「ふーん」

携帯なんて仕事の電話で使うときくらいしか目にしたこと無かったのに
最近はどこへ行っても見えるところに出しておいたりして、メールもちょこちょこ
やってるみたいだし、撩ったらなんか変わったのかしら?
と首を傾げている冴子。
まさか・・?まさかそんなはずないわよね。

冴子の目線を受けて苦笑しつつ、香から来たメールを見てまた返信する。
ずいぶんと手慣れたようで、打つ速度もだいぶ速くなった。

『撩、今度の日曜日空いてる?』
『ん?ああ、今のところ予定は無いぞ。なんか用か?』
『ねぇ?デートしない?』

香からの言葉に自分でも気付かず撩は微かに笑みを浮かべる。

『ああ、いいぜ』
『やった♪』

撩はコーヒーを飲みほすと、携帯をしまい込んでキャッツを後にした。

「ねぇ?冴子さん」
「何かしら?美樹さん」
「冴羽さん恋人でも出来たのかしら?」
「私もまさかとは思ってるけど、撩は元々特定の女性を作る主義ではないから
私にはわからないわ~」
「そっか~。そうよね~根っからの女ったらしだものね」
「うんうん、あんなのが変わるわけないと思うけど・・・」


撩は冴子や美樹にそんなことを言われてる事などつゆ知らず・・・


そして、当日の朝早く撩は愛車で香の自宅アパート付近まで行き
車から降りると、煙草を吹かしながら香がくるのを待っていた。
すると背後から気配を感じクルッとその方向に向きを変える。

「うあ!!」

驚かそうと背後から迫っていた香に、お見通しと言わんばかりに
撩はクルリと回って香の顔の間近に自分の顔を近づけたものだから
香が思いもよらぬことに驚いて甲高い声を出してしまった。

「ククク・・・俺がそんな事に引っ掛かるとでも思ったか?」
「もう!朝っぱらから脅かさないでよ!」
「脅かそうとしてたのは、そっちのほうじゃねーか」

顔を真っ赤にして口をへの字にした香を間近にした撩はちょっと固まった。
急に子供のような表情のように見せかけて、妙に色っぽかったり。
そして、久々に会う香の服装が前の時とは違って女の子らしい服装で
これまた撩好みのミニスカートだ。
アンバランスな所が妙に男心をくすぐる。

香がぷいっと後ろを向くと撩の視線が香の太股に一直線。顔が瞬時にデレ~となる。
そしてまた香が振り向くとシラーとした表情に戻る。なんとも器用な奴だ。

「んじゃ、行くとするか」
「うん」

ミニクーパーに乗り込み、二人のデートが始まった。

「さて、どこ行きましょうか?お嬢ちゃん」
「ん~~・・・撩のお勧めの場所連れていってくれる?」
「りょーかい」

俺のお薦めの場所と言ったらあ~
"キャバクラ"だよな~やっぱり~

なんて、香に冗談で言ったらグーで殴られちまったぜ・・・
でもキャバクラ最高だぜ?あ?薦めんなって?

「んもー!ちゃんとした所連れていってよねー!
デートくらいしたことあるでしょー?」
「そりゃーね」
「じゃぁ、簡単でしょ?」

そう言われて即ラブホ街へ連れていくと、またも顔を真っ赤にした香にブッ叩かれた。

「それしかないのかー!もう!」

正直な話し、俺って女と遊ぶっていったら、そういうことしかしてねーような気がするんだよな。
どこかムードのあるレストランでとか気の利いた場所でデートなんて、したことねえかも。
(仕事柄、そう言う高級レストランやパーティ会場等には出向くこと多いがな。目の保養と聞き込み♪)
でも、コイツをこういうとこに連れ込むって気にもならんのだよな。
アイツの妹だからなのか?なんなのか理性が働いてるらしい。

「あはは・・・ウソウソ、冗談だよ香ちゃん。
今度こそちゃんとしたところ連れていくってば」
「ホントかな~もう・・・」

疑いの目で見つめている香を横目に撩は、ある場所に連れて行く。
そこは撩が普段仕事上がりによく寄る場所で、らしくない雰囲気に香は唖然とする。

「・・・遊園地?」
「あれ?お気に召さなかったか?」
「え、いや、その・・撩のお勧め場所なの?ここ」
「おう、そうだぜ~~」
「ぷっ・・・ガタイに似合わずこんな場所に来るんだね撩って・・ぷぷぷ」
「あん~?デートって言ったらここだろう?」
「ま、まぁ~そうだけどさっ。撩のイメージに合わないなと思っただけ」
「なんだよそれ。俺似合わないか?」
「うんうん・・・ぷぷぷ」
「おい~こら!笑うんじゃねーよ!」

そう言うと次の瞬間香の手を握ってズンズンと撩が歩き出す。

「ったく、俺はあの特等席の眺めが好きでよく遊園地に来てんだよ・・・」

香には聞こえないほどの小さい声でブツブツ呟きながらどんどんどんどん進んでいく。

「あわわわわわ!!りょ、撩!?」

突然の事に慌て出す香にお構いなしに手を引っ張ってあるアトラクションに入っていった。
慌てていた香の目には全然入ってなかったが、そこは香の大嫌いな幽霊屋敷のアトラクション。
二人一組で並んで歩いていく昔からあるものだ。
入った途端、真っ暗で寒い雰囲気に香の表情が一気に凍りつく。

「りょ、撩!?こ、ここって・・・まさか!?」

微かに震える声で香が訴えかけていると、撩の強引に引っ張っていた動きは止まり
香を覗き込むとニヤリと笑いかける。

「やっぱ、女の子と遊園地来たらここに入らないと♪」
「あううぅ・・・あ、あたし、こういうの苦手なのに!」

ギュッと撩の腕を掴み身体を密着させ上目遣いで撩を覗き込んで目を潤つかせる。
そんな香の仕草に撩は、何か込み上げるものを感じつつ香をなだめて先へ進む。
進むにつれて仕掛けはエスカレートしていき、最終的にはそこの従業員らしき人が
幽霊に扮装して襲いかかってきた。

「きゃあああ!こないでこないで!!」

その幽霊がこともあろうに香ばかり追っかけるもんだから、香が大泣き状態。

おいおい・・・さすがに俺を脅かせないだろうというのはわかるが、
激しく驚いてる香をそこまで追いつめるか!?
撩は怒りが沸々と沸き、幽霊に急所に一発入れると香を抱きかかえて、その場を離れた。

「大丈夫か?」
「うぅ・・・えっぐ・・・ひどいよぉ・・」
「わ、わりぃ・・・ここまで怖がりとは知らなかったからよ」

ベンチにグッタリともたれ掛かる香に「お詫び」と言って撩が香の額にキスを落とした。
その一瞬の行動に香の"怖かった"という思考が瞬時に"撩が額にキス"に切り替わり
香の頭がパニック状態。顔を真っ赤にして今にも頭から湯気を出しそうだ。

「ったく、おまぁ~は泣いてたと思ったら急に顔真っ赤にして~忙しい奴だなぁ」
「だ、だって!急にするからでしょ!」
「急じゃなきゃいいわけ?キスするって言えばいいのか?」

俯き加減な香をニヤニヤしながら覗き込み問い掛ける撩に、もっと顔を真っ赤にして目を潤ませる香。

「あはは!まぁ・・・冗談はさておき!今度はおまぁが乗りたい乗り物乗ろうぜ!」
「も、もー!いっぱい付き合ってもらいますからねー!!」

それから、ジェットコースターを何度も乗らされコーヒーカップやらメリーゴーランドやら
ありとあらゆる物を隅から隅まで乗せられて、俺も流石に疲れ果てた。

「あはは!撩?もうへばったの?」
「るせーなー!あんだけ乗ったら俺も疲れるっつーの!」
「ねぇ、観覧車も乗りたかったけど、今日は運悪く調整中で乗れなかったね」
「ん、ああ。また今度乗ろうぜ」
「うん!」

帰りの車の中で笑いが絶えることなく続き、いつの間にか香のアパートの前まで着いていた。
空は朝と違って今にも降り出しそうな怪しい天気。

「朝は晴れてたのに、随分空が曇ってきたね。降りそう」
「お?ちょっと降ってきたぜ?」
「じゃ、本降りになる前に帰るね」
「そうだな」
「今日はありがと、付き合ってくれて」
「ああ、いいよ。俺も暇だったし」
「じゃ、またね」

そう言って香が車から降りてドアを締めようとしたとき、アパートのドアが開き誰かが出てきた。

「香?帰ってきたのか?今日の夕飯はおれが・・・・・・・!?」
「アニキ?」
「槇ちゃん・・・」
「なんでお前と香が一緒に居るんだ!?」
「え、あ・・・偶然街中で会ってさ・・・」
「関わるなと言っただろ!!」
「そ、そんな・・・!なんで!?」
「なんでもいいだろ!!」
「関わるなだなんて・・・理由はなんなの!?」

香の言葉に一瞬撩と秀幸は凍りついたが次の瞬間秀幸が重い口を開いた。


「コイツ・・・撩は・・・親父を殺したんだ・・・!」

え・・・?


その言葉は降り出した冷たい雨よりももっと冷たく悲しいものだった・・・


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