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2010.10.21(Thu)

都会の天使 第六話「アニキの憂鬱」


第六話「アニキの憂鬱」


とある新宿のBAR。
秀幸と撩がカウンター席で静かに酒を飲んでいた。

あれから撩と秀幸はよく飲むようになった。
撩は相変わらずバーにいる女の子に声掛けたりと軽いところを見せていたが
秀幸にはそれが撩らしさということが分かっていたため、止めることはしなかったが
内心香が見たらどう思うだろうかと苦笑していたのであった・・・

「なぁ、撩」
「なんだ~槇ちゃん」
「最近、香とはどうなんだ?」
「どうって~?」
「そ、その、二人は付き合っているのか・・?」
「ん~、付き合ってはいねーよ」
「そうか」
「アッハハ、撩ちゃん軽いから手を出すんじゃないかって
心配してるんか?」
「・・・・・・・」
「だいじょーぶだいじょーぶ!お前の大事な妹に手をださねーから!」
「いや、いいんだ。隠さんでも」
「はぁ?」

お前たち暇ありゃ会ってるのくらい知っていたさ。
撩、お前が特別一人の女と何度も会うなんて、今までしたことがないということも。
かつて父さんが言っていた、撩は毎晩違う女と遊び一晩共にしていたと。
遊び人だった撩がこうまで変わったのは、香と会ってからだ。
そりゃ、遊ばれるんじゃないかと凄い心配だったが・・・

「なぁ~に槇ちゃん真剣な顔しちゃって、酒が不味くなるだろーが」
「・・・香のことよろしくな撩」
「な、なんだよ急に」
「いいだろ、それだけだ。さーて今日もまだまだ飲むぞ!」
「あはは・・意味わかんねーの槇ちゃん」


"香のことよろしく"か・・・
まったく親子して・・・まるで親父さんに言われてる気分だぜ。はは・・
こーんな俺にどうしてこう託すんだろな。大事な女をよ。


「あ、こんなところに居たのね!」

BAR入り口にひょっこり顔を出して叫ぶのは、香だった。

「あーら、噂をすればなんとやら~って奴だねぇ」
「はい?りょお~?あたしの悪口でも言ってたわけ~!?」
「あっはは!おう~口うるさい妹だな~って言ってたぜ?」
「こらぁ~!あたしのどこが!」
「おいおい、香よさないか。周りの客が見てるだろ・・・」
「あ・・あははは・・・・すいませーん」

苦笑しながら香もカウンター席に座ると、目の前に置いてあった飲み物に手を出し
一気に飲み干してしまった。

「って・・!香ちゃんそれは・・・!」

慌てて撩は香が手に取ったグラスを取り上げるが、もう中身は空っぽ。

「あーあ・・・槇ちゃん。こりゃやばいぞ?」
「・・・香、お前それなんだったのか分かって飲んだか?」
「へ・・・ジュースじゃないの?」

香が飲み干したのはマスターが試作品ですと言って撩に出したカクテルだった。
お酒だということを認識したと言うこともあり、一気に酔いが回り始める。

「・・・あぁ・・・・なんだかクラクラする」
「おおおい、香、倒れるなよ!?」

倒れそうになる香を秀幸が支えると、撩が膝をつき背を向けて「乗せろ」と言った。

「俺がこいつ連れて帰っからよ」
「すまないな~撩・・・まったく香は酒が弱いのに一気に飲むから・・・」
「まーったく天然な所があって大変だな~お兄様も♪」

額に手を当て「はぁ~」と溜息をつく秀幸。
そんな秀幸に撩は「ま、そこがいいんだけどな」と言うと香を背負ってBARを出て行った。
それを遠目で見送っていた秀幸は、代金を払うと一人BARを出て行ったのであった。



寒々とした夜空の下、アパートまでの道のりを撩は香を背負い歩いていた。
時折、すれ違う人にジッと見られたりしたが、酔っぱらっている香には関係なし。
逆に、撩の大きな背中を間近に感じられてることが密かに嬉しくてたまらない香。

・・・アニキ以外の男の人に背負られるのは初めてだなぁ。

ドキドキするのは、お酒のせい?それとも撩をすぐ側で感じてるからかな・・・?
あたしってもう結構重傷・・なのかな・・・

「・・う、うーん・・・・」
「おいおい、大丈夫か~?気持ち悪くなったらすぐ言えよ。
俺の背中で吐かれたらたまったもんじゃねーし・・」
「・・・りょ・・・・・」
「あ?どった?」

香はお酒の力を借りて思い切って聞いてみることにした。

「あ、あのさ・・・
撩って好きな女の人っているの?」
「ん~居たらどうなんだ?」
「え・・・?」
「居たら香ちゃんどうすんのかなーって」
「な、何言ってるのよ・・・別にあたしはあんたなんて・・」
「ククッ・・・なぁーに言ってんの。んなの別にいねーよ」
「そ、そっか」
「ったく、変なこと聞くなよなぁ」
「ごめん・・・」
「謝んなって。俺が女居たらこうやって香ちゃん背負ってるわけねーだろー?
んな暇合ったら女の所行ってるっつーの」

その言葉に香が撩の首に回した腕をギュッと強く抱き締めた。

「うぐ・・・ぐるぢい」
「あ、ごめん・・」
「あはは、おまぁの力ごときで死なねーから大丈夫」
「んもう、脅かさないでよね・・・」

香が今どんな顔してるのか、どんだけ真っ赤にしてるのか
俺には見ないでも何となく分かる。
ばっかみたいによくそういう表情するから、脳裏に焼き付いちまった。


「もうすぐ家につくぞー香ちゃん」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「って・・・あれ?」

よーく耳をスヤスヤと香は微かに寝息を立てている。

「あっちゃ、眠っちまったかぁ」

仕方なくそのまま家の中に入ると、真っ暗な香の部屋へ運びベットに横たわらせた。
月夜に照らされた香はとても綺麗で、撩はしばらくベットの端に座り寝顔を眺めて
時折、小さくうわごとを言う香に笑みを零しながら頬を撫でていた。

(うわごとで告白されてもなぁ・・・フフッ)


「りょ・・・・」

「・・・りょぉ?」

「撩ったら!」
「ふぇ!?」

がばっと起きるとそこは香の部屋で、どうやら撩はいつの間にか
寝てしまっていたようだ。

「びっくりしたよ。撩があたしのベットに寄りかかるように寝てるんだもん」
「あはは・・・すまんすまん。
お前を送り届けたらすぐ帰るつもりだったんだけど・・・」
「だけど?」
「おまぁの寝顔見てたら帰りそびれちまって♪」
「ちょ、ちょっと寝顔!?」

香は撩の頬を両手でグイグイ引っ張って「変なことしてないでしょうね!」と
赤面しながら叫ぶと、撩は反撃とばかりに香の頭をグリグリして「バーカ!しねーよ!」
と言い返し、お互い目が合い終始無言に・・・

「「ぶっ・・・あはははは!」」

耐えきれず吹き出し爆笑。
お互い何してるんだと笑いだし、じゃれるように抱き付く香に肩に腕を回して大笑いする撩。
年齢は離れてるけど、大の仲良しでこうやっていっつもバカみたいに笑いあえる。

まるで兄妹のように・・・

兄妹?

撩にとってあたしは妹みたいなもんなのかな・・・?


「それじゃ、俺はこれで帰っから。もう夜遅いしおまぁも早く寝ろよ~」
「泊まっていけば?」
「なぁ~にいってんの香ちゃん。襲って欲しいわけ?」

ニヤニヤ笑う撩に顔を赤くして大きく首を横に振る香。

「あんま長居してっと、こわーい兄ちゃんに怒られちまうからな!」
「あはは・・・アニキはあのまま診療所に行ったんじゃないかな」
「は?あいつまだ仕事あったんだ?」
「ううん、一応仕事は終わってたけど、もしかしたら夜に誰か来るかもしれない
からって昔から遅くまで居るのよ」
「そーなんか。よくまー頑張るなぁ」
「うん、ホント頑張りすぎだよね」
「それなら、槇ちゃんの所に顔出してから帰るかなーっと」
「うん、そうしてあげて。あ、アニキに早く帰ってきなさいよって言っておいて~」
「りょーかい」

撩はそう言うと、香の頭をポンッと軽く叩き部屋から出て行った。


「あーあ、撩ちゃんもったいないことしちゃった~♪」

そう呟きながら、アパートを出ると、ドアの横に秀幸が突っ立っていた。

「そんなことだろうと思ったぜ槇ちゃん。
つーか、香が早く帰ってこいって言ってたぜ~」

撩の言葉にニヤリと笑みを浮かべ睨み付けると・・・

「・・・お前、香が好きなんだろ」

そう言った秀幸に撩は、ククッと喉の奥で笑うと煙草を咥えたまま
「なんのことかな~」と軽く言いながら、アパートから去っていった。

なんのことかな~


「素直じゃないな~撩・・・俺にはお見通しだぞ・・・
ま、時間の問題か・・・」


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テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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