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2010.11.11(Thu)

都会の天使 第九話「閉ざされた心」

第九話「閉ざされた心」


ピッピッピッピッ

病室に鳴り響く心電図のフラット音。

あれから香はなんとか命を取り留めた・・・
が、意識はいまだに戻らず

目の前の光景に撩はただ立ち尽くすだけだった・・・


連絡を受け駆けつけた秀幸と冴子。
秀幸の怒りの矛先は撩に向けられ、その表情は鬼と化している。

「おい!どういうことなんだこれは!!」

撩の首根っこを掴んで怒り狂う秀幸。
「やめて!!」と必死に抑えようとする冴子だが、抑えきれず振り払われてしまった。
攻められても返す言葉が無い撩は、ただただ秀幸の思うがままにさせた。

散々殴られた撩は、その場に崩れ項垂れ秀幸はそんな撩を見ると
香が居る病室へ入っていった。


「撩・・・あなた一体何があったの」

冴子の問いに応えると言うより、自分に対して言葉を放つ。

「俺が馬鹿な遊びをしてたばかりに、アイツに悲しい思いさせちまったんだ」
「え?」

・・・・・・・・・・・・・・・・

暗い世界、ここは何処だろう?
あたしはどこに行けばいいの?
歩いても歩いてもとても暗くて・・・

向こうの方にポッカリと穴が空いてて白い光りが漏れている。
そこに足を踏み入れると、全身を暖かい何かで包まれる感じがした。

そして触れる暖かい何か、その温もりに何か懐かしくて切なくて・・・
その正体を探ろうと見回しても、周りは真っ白い光りだけ。

ふと、名前を呼ばれた気がした・・・

一生懸命手を伸ばして助けを求めていると目の前に靄が掛かり・・・




「香!?」

突然病室から秀幸が香の名を叫んだ。

「どうしたの!?」

冴子が駆けつけると眠っていた香が目を覚ましたところだった。

「ああ、香さん!目を覚ましたのね!」

その言葉に撩も病室の入り口にそっと立ち様子を見ている。

「アニキ・・・?」
「ああ、香・・・!良かった意識が戻って・・・」
「冴子さんも・・・あたしどうして・・・」
「香さん、あなた交通事故に遭ったのよ・・・」
「ええ・・・?」
「撩・・・あなたも言うことあるでしょ?」
「俺は・・・」

動こうとしない撩に冴子が腕を掴み強引に香の元に連れていった。
撩を睨む秀幸を冴子はなだめつつ、撩を香の前に差し出す。
香は撩の顔をジッと見つめ虚ろな目をひとつ瞑りもう一度見るとこう言った。

「あ、あなたは・・・・どなたですか・・?」

あまりに衝撃的な言葉だった。

「あ、いや、俺は君のお兄さんの知り合いなんだ」
「そ、そうですか・・・」

自分の目に映る香は、まるで初めて会ったかのようで・・・


いつも俺に笑顔を見せてくれていたお前が居ない・・・
喋って絶え間なく笑ってたあの頃。

なぁ、かおり・・楽しかったよな?
あの時、楽しかったよな?

俺との想い出・・楽しかったよな・・・?


なぁ、香・・・ごめんな・・・


撩は顔色一つ変えず何もなかったかのように振る舞うと、病室から出て行ってしまった。

「秀幸・・・これは一体・・・」
「おそらく・・・香は一部記憶が欠損したんだろう」
「一部?」
「そう・・・相当ショックなことがあったのと、同時に事故で頭を強く打った衝撃で
忘れたい記憶だけが欠損したんだろう・・・」
「え?・・ってことは、撩との想い出だけ全部忘れてしまったってこと!?」
「そうなるな・・・・」
「そんな・・・」


冴子にもわかっていた。撩にとって香という存在がどんなものか。
香の存在があったからこそ撩は変われた。
なのに・・・

(一体、二人の間に何があったというの・・・?)


翌日早朝、撩はふらつきながら自宅アパートへ帰ってきた。
豪酒の筈の撩だったが、酷く酔い潰れていて街中で何度も絡まれる始末だった。

倒れそうになりながら自宅へ入ろうとすると、何かを足で蹴飛ばした。
「何だ?まったく」と思い足元を見ると、何やら包装された箱が落ちていた。

「これは・・・?」

ふらふらしながらその箱を持ち上げてガサガサと包装を引っ剥がす。
すると中からメッセージカードとZippoが出てきた。
そのZippoにはRyo&Kaoriと刻印されている。

おもむろにメッセージカードを開けて見ると、そこにはこう書いてあった。

birthday card


「香・・・」

眼を細め悲しそうな表情をすると撩はプレゼントをポケットに突っ込み
アパートへ入っていった。



――それから数週間後

撩と冴子は成田空港に居た。


「本当にアメリカに行くの?」
「ああ」
「なんでまた急に・・・」
「向こうの相棒が呼んでるんでな」
「あなた・・・本当は・・・」
「フッ・・・」

搭乗する飛行機のアナウンスが流れる。
搭乗時刻が迫っているようだ。

撩は冴子の肩を叩き「じゃ、またな」と別れを告げると、そのまま真っ直ぐ歩き出す。
一度も後ろを振り向かず、右手をひらひらと振りながら人混みの中へ消えていった。


搭乗時刻になるまで撩は壁により掛かり
カチッとZippoで煙草に火を付ける。

煙草を吹かしながらZippoの刻印部分を親指で撫でながら、大きな溜息を漏らす。
持っていてももう自分には関わりのない人間だと言い聞かせたが
捨てることも出来ず、いつの間にかずっと持ち歩いていた。
そんな自分に嫌気がさすが、どうしてもこれだけは持っていたかった。

俺は、自分を軽い男だと思っていた。
だが、香と出会いそれが間違いだと気付いた。
アイツを知る度に周りの女などどうでもよくなり、笑顔を見る度に強くなる想い。
これだけ人間を愛せる奴なんだと自分に驚かされた。
一度愛を知ると、人間は脆いと思っていたがそれは確かだった。
アイツに関する物全てに敏感になり、表では平静を保っているが
俺の内はアイツでいっぱいだった。

もう、忘れなければいけない。わかっている。
アイツが俺を忘れたようにキッパリ忘れられたら楽なのに。

これから歩む道はきっと誰よりも厳しい。
だからこれで良かった。お前を引き込みたくなかったから。

これでいい。
俺みたいな死に神は、側にいない方がいいんだ。

また、お前達を傷つけてしまうから。

だから、香・・・元気でな。

さよなら。

さよなら・・・



◆あとがき◆
これにて都会の天使第一章終わりです!
そしてプロット書き終わり次第、第二章に移りたいと思います!
お楽しみに!



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テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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Comment

こんにちは、「閉ざされた心」読みました・・・
うぎゃ~っ!、なんで?なんでリョウの事だけ忘れちゃうの?!
誕生日は幸せだったのに・・・ラブラブだったのに・・・リョウちゃんかわいそう>,<
このまま、香の記憶が戻らないなんて事ないですよね?
アメリカに行くって事は、しばらくは帰ってこないって事だよね・・・アメリカで待ってる相棒って、ミックの事?「これから歩む道は厳しい」って、まさか殺し屋(スナイパー)に成るなんてこととか・・・?
第2章が、どんな風に成っていくのか凄く楽しみでも有り・・二人の関係がどうなるのか不安でもあるかな~*:*
でも、最終的にはハッピー間違いなしだよね♡♡♡
次回も楽しみに待ってま~す^:^。
さや | 2010年11月11日(木) 09:20 | URL | コメント編集

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 | 2010年11月12日(金) 15:21 |  | コメント編集

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